ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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3 人種の混合、オークと人種問題



関連資料

Anderson Rearickの論文 「Why Is The Only Good Orc a Dead Orc?」
要約します。

現在でもトールキンの作品に人種差別が見られるか否かについての議論がある。しかし学会は長い間その件について無視していた。だが、「指輪物語」がピーター・ジャクソンによって映画化され、ポップカルチャーにまでなり、今までにない範囲の観衆の興味を引くこととなった。その結果、John YattやStephen Shapiroといった「トールキンは人種差別者だ」と主張する批評家が出てきた。
Yattは、敵側は常に黒い衣装をまとう事やウルクハイがドレッドヘアであるということを根拠にし、Shapiroは、白と黒といった色コードは人種差別を表わしていると主張した。しかしこうした色の表現はトールキンの原作に由来するのではなく、映画を製作したピータージャクソンによるものである。またShapiroは、ギムリがスコットランド訛りの英語を使うことを指摘し、トールキンはスコットランドに偏見を抱いているとするが、これはギムリを演じたジョン・リス・デイビスの演出である。しかしYattは原作に立ち戻った上でもやはり、指輪物語には色に関しての差別意識が見られるとし、Shapiroは同じ理由で指輪物語を人種差別的なものと見なしてる。

トールキンは南アフリカに生まれ、幼年時代一家は現地の人を使用人として雇っていた。トールキンの家族写真にはそうした使用人が一緒に写っているものがあり、偏見や迫害といった意識は薄かったと思われる。また、トールキンはユダヤ人迫害に対しても反対の立場を取り続けた。トールキンの白を高貴として黒をその反対におく傾向はむしろローマ・カトリックの宗教的な、つまり光に対する影といった概念から派生したものとするのが妥当だろう。

オークという種族はこの意味合いから考えて悪魔の下僕的な存在と考えた方が良い。つまり「Why Is The Only Good Orc a Dead Orc?(何故死んだオークだけが良いオークなのか?)」という問いは、「なぜ良い悪魔は清められた悪魔だけなのか?」という問いに置き換えることができる。その答えは「悪魔を良いものにすることにできるのは神だけ」である。トールキンは、「オークはメルコールによって創られたのではない。だから本質的な悪ではない。彼等は(少なくともエルフや人)によって救われることはないだろう。だが彼等は法の内にあるのだ」とし、エルの心のうちにはオークを救済する意志が存在する可能性があることを示唆している。

トールキンの人種問題はこうしたキリスト教義以上に重要視されるべきではないだろう。


しかしFimi先生は、書簡集などの言葉からやはりトールキンも人種による偏見を持っていたとしています。しかしそれは当時のヨーロッパに共通するもので、個人的感情から来るものではなく、トールキンが生きた時代の反映とされているようです。
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2 中つ国の人種 エルフと人



関連資料が特にないので講義内容をまとめます。

トールキンが描く種族の中で一番“高位”とされるのがエルフです。そしてエルフにも3つ種族があり、中でも高貴とされるのがヴァンヤールです。ヴァンヤールの特徴といえば白皙金髪です。また黒髪のノルドールの家系でも、ヴァンヤールの血統を持つフィナルフィン家(例えばガラドリエル)が美しいとされています。
そして今度は人です。人は常にエルフより下位とされます。また人の中でも一番高貴なのがエレンディルの血を引くヌメノールの王家です。人もまたすべて同等ではありません。東夷や南方人は明らかにmenとは異なる下位のWild menの範疇に入るものと思われます。

このようにトールキンの作品の中で種族は全て同等に扱われることはなく、それぞれの位置が付けられています。

そして人の中でも高貴とされるヌメノールの血は、より下位の人種と混じってだんだん腐敗していきます。こうした純粋な血ほど良い、血が混じるほど劣化してゆくという考え方は、トールキンだけのものではなくヴィクトリア時代に一般的だったもののようです。19世紀後半には、ゴールトン(ダーウィンの従兄弟らしいです)によって、才能を持った人の子孫は世代が下るごとに受け継がれる才能が薄まっていくという統計が出され、血統の濃さによる優位性が主張されました。

またトールキンは人をエルフと友好的な種族とそうでない種族に分け、東夷や南方人はサウロンに加担するものとしています。しかしどちらの範疇にも属さない種族もあります。ガン・ブリ・ガンがその代表でしょう。こうした原始的な人種をロマンチシズム的に解釈する見方は、18世紀にジャンジャック・ルソーによって確立された「高貴な野蛮人」の流れに属するようです。つまり、人は本来自然の、あるがまま状態が「良い」のであって、それが文明によってだんだん穢されていくといった考え方です。

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1 現代の人類学とトールキンの見方 関連資料


トールキンは作品中に多くの種族を作り出しました。エルフやホビットやエント、オークなどなど。これらの種族のほとんどが"擬人化”されたもので、こうした擬人化された種族に様々な性質が与えられているところがトールキンの作品の特色です。
トールキンは指輪物語の中で種族を表わすために、race、people、folk、kindred、kindといった様々な言葉を使っていますが、その使い方に統一はみられません。こうした事から、トールキンは種族(あるいは人種)といった概念に対して曖昧な態度をとっていることが窺えます。ですが、この曖昧な態度はむしろ当時の人類学の発達に伴って、トールキン自身の種族に対する見方が変容していった事を表わしてるのではないか?との事です。

関連資料
*オックスフォードのオンライン辞書による“人種主義人類学(Racial Anthropology)”の定義
19世紀までは、raceという言葉はpeopleとほぼ同じ意味合いだった。そしてイギリスをフランス、あるいはドイツと区別して使うような場合に使用されていた。だが、19世紀になるとraceには生物学的な意味が含まれるようになり、人類学的、また歴史的な要素の比重が大きくなっていった。そして社会の進化の過程に基いた階層的な違いを示す言葉になっていった。今日では、生物学的な違いによってraceを分けることは間違いに繋がるという見方が一般的である…。

非常に難しいです。wikiの人種差別の項目が参考になるかもしれません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E7%A8%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5

*オックスフォードのオンライン辞書による“社会ダーウィン主義(Social Darwinism)”の定義
19世紀後半の社会理論の軸となるもので、自然淘汰の理論を進化に結びつけ、人間社会を分析するもの。ダーウィン自身進化論を作り出したものの、こうした主義からは距離を置いていた。 優秀なものが生き残り、繁栄するという理論は、社会の不均衡を正当化する目的にしばしば使われた。またイギリスやアメリカの中だけでなく、中国や日本もこの理論を取り入れナショナリズムを推進させた。

19世紀の終り頃には、人種的に純粋であることが一つの国家の強さを維持するために不可欠であり、また白人の優位性が科学によって証明されたものという認識が一般的だったそうです。トールキンもこうした認識を一切持っていなかったとはいえないようです。
しかし、トールキンが「ホビット」を出版した後、2次大戦となり、そこでトールキンはナチに対して断固とした態度を取ります。ホビットのドイツ語翻訳の際に、自分がユダヤでない証明を求められた時にもきっぱりと断りました。また、トールキンは、差別意識の強いraceよりもpeopleを使うように意識するようになったようです。

残りはまた明日にでも書きます。

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第八週 中つ国と現代の人種主義人類学(Racial Anthropology)

第8週です。

講義内容は、
 
1 現代の人類学とトールキンの見方

関連資料
*オックスフォードのオンライン辞書による“人種主義人類学(Racial Anthropology)”の定義
*オックスフォードのオンライン辞書による“社会ダーウィン主義(Social Darwinism)”の定義

2 中つ国の人種 エルフと人

関連資料 特になし

3 人種の混合、オークと人種問題
Anderson Rearickの論文 「Why Is The Only Good Orc a Dead Orc?」

今回は先週よりもさらに少ないです。今月の14日にはエッセイを提出しなければならないので、この量の少なさは受講生への配慮かもしれません。 
私もアマゾンから本を取り寄せて進めています。エッセイについては講義が終わった後でまとめようと思います。

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