ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

07/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31./09

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

category: スポンサー広告

[edit]

trackback: -- | comment: --
page top

オンライントールキン講座 受講メモ4 第二週:シッピー氏の論文

シッピー氏の論文

冒頭にルイスの「Out of Silent Plant」が引用されています。
ルイスはこの中の登場人物、ランサム(トールキン教授がモデルらしいです)に、火星で出会ったeldilaという知的生物についてこう説明させています。
「この生物はもしかしたら、人の言うところのalbs、devas、といったようなものかも知れない」

シッピー氏によると、上記のalbsという言葉は、明らかにルイスがトールキンとの交友の内に得た知識によるものだろうということです。ただ、ここでsをつけて複数形にしているところは間違っているらしいです。

そして本題です。elfという言葉が過去の文献の中でどう定義されてきたかの経緯を見ると、言葉の定義は一定でなく、混乱が見られるとのことです。シッピー氏は、そうした混乱と矛盾を、トールキンが作品の中で解決したのだと主張しています。

論文中で引用されていた文献は

・オックスフォード英辞書
・スノッリのエッダ
・グルントヴィの Nordens Mytologi
・ヤコブ グリムの Deutsche Mythologie

です。それぞれの文献の中でエルフ(ライトエルフとダークエルフ)がどのように説明されているかを簡単に書きます。

オックスフォード辞書ではalbは“チュニック、あるいは教会の衣服”とありますが、albsについてはまったく出てきません。ただ古英語(アングロ・サクソン語)にはエルフやエルフインといった単語が出てきます。これらは森エルフや、海エルフといった、他の海や山を表わす言葉と結びつけられることが多いらしいです。これらはニンフやドリアード等のラテン語を翻訳する際に当てはめられた造語だろうと単純に推測できるようです。また“elf-disease”といったネガティブな言葉がある一方、“Elf-firend"といった名前を子供につけることもあり、一律にエルフを善悪の基準に照らし合わせて定義することは難しいようです。

一方スカンナビジア系であるスノッリのエッダでは、エルフは大体、ライトエルフ、ダークエルフ、そしてブラックエルフといった形ででてくるようです。
そして、スノッリのエッダの中で、ブラックエルフとはすなわちドワーフを指すようです。ダークエルフも、おそらくブラックエルフと同じくドワーフであるとされているようです。つまり、エルフという言葉にはドワーフも含まれていたということになります。

そしてグルントヴィとなると、エルフをライトエルフとダークエルフに分けた上でその間にドワーフを挿入します。またこのドワーフはトワイライトのエルフ(薄闇のエルフ)であるとも付け加えられています。

こうした事を踏まえた上で、ヤコブ グリムは(要約すると)以下のような疑問を提示します。

1.ライトエルフ、ダークエルフとは何か?色の違いでないのならば、一体何の違いなのか

2.色が問題となっているのではないなら、何故スノッリはダークエルフをブラックエルフとしているのか?

3.ドワーフがエルフとは違うのなら、何故ドワーフはブラックエルフと呼ばれているのか?
古英語に出てくる森エルフ、海エルフ等はどういった範疇に属するのか?

4.グルントヴィの言うところのトワイライトのエルフに関する言及は他にあるのか?

こうした問いのいくつかに、トールキンはその作品の中で答えているということです。
例としてシルマリルに出てくるエオル(ダークエルフとされている)やマイグリン(ローミオン=薄闇の子という名前を父から貰う)が挙げられています。

シッピー氏は、トールキンが彼の作品で示したエルフに関する概念が間違いである可能性ももちろんあるけれども、そうした(エルフの概念の)再構築はイマジネーティブなだけでなく、厳密な文献学的な見地からなされたものであるのだと結論づけています。



スポンサーサイト

category: トールキンオンライン講座 第二週

thread: 勉強日記

janre: 学問・文化・芸術

[edit]

page top

オンライントールキン講座 受講メモ3 第二週目

第二週のテーマは「エルフのイメージ」についてです。

項目としては大体

1 トールキン教授のエルフのイメージ
2 ゲルマンの伝統的なエルフ
3 ビクトリア朝の妖精について
に分かれています。

1は指輪物語、シルマリルに書かれてることの再確認という感じです。クウェンディの説明とか、あと、PJの映画に出てくるエルフも紹介されています。

2は下記の資料がメインです。

まず、Terry Gunnell(アイスランド大学の教授)のトールキンエルフに関する論文。
教授の初期のテキストや詩には、いわゆるfairy(妖精)が見られるが、中期以降のエルフは北欧神話のヴァン神族に影響を受けたものだろうというもの。

そして、Tom Shippey教授の
ライトエルフとダークエルフに関する論文。

3はFimi先生が書かれた論文オンリー。

これは教授の初期のテキストや詩に見られる妖精には、ビクトリア朝の妖精の影響が色濃いということを明らかにされた論文です。ビクトリア朝の妖精がどんなもんかというと、シェークスピアの真夏の夜の夢に出てくるパックや、ピーターパンのティンカーベル等をイメージすればいいという感じです。トールキン教授自身は、後に妖精のコンセプトを否定して、シルマリル等の神話には、fairyやfayという言葉を使わなくなるのですが、若かりし頃にはピーターバンのミュージカルを見て非常に感銘を受けたと書いてありました。

それで今回、第二週目の課題はShippey教授の論文に関してなんか書きなさいというものです。けっこう、どころか非常に難しい。がんばって読みます。
余裕があればShippey教授の論文の内容についてここに書こうと思います。

ところで受講生は七人ぐらいみたいです。私の他にも一人日本の方がいるみたいでびっくりしました。若い女性でどうやら留学して英文学を学んでいらっしゃる様子です。英語バリバリお出来になります。うわー。

ちなみに私は40代のおばさんでございます…。

category: トールキンオンライン講座 第二週

thread: 勉強日記

janre: 学問・文化・芸術

[edit]

page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。