ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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3 別世界ケルトと短い作品 関連資料と5週のまとめ

* Fimi先生論文 「Celtic Types of legend」
また概略を記します。

1930年代に書かれた「Lost Road」にも、アイルランド神話の航海(immram )伝説の影響が見られる。さらに、1924年の「The Nameless Land」という詩に見られるように、トールキンは既にケルトのotherworld(orbis alia)とヴァリノアのパラレル関係を見出していた。
こうして、トールキンはケルトの伝統を彼の神話の中に組み込むことによって、キリスト教以前の異教徒的なotherworldを確立しようとしたのである。

そのotherworldとはアングロサクソンの世界にも見られるもので、ベーオフルフでも「本当のエルフが住む地」として仄めかされている。この地がトールキンの「イングランドのための神話」の中心となる。「The Lost Road 」は、トールキンがアイルランドの伝統を北ヨーロッパの神話と伝説の一部として受け入れた、初めてのものだと言える。

また、トールキンは、「サーガウェインと緑の騎士」の研究において、この詩は、古いフランス語が原典となっているものだとして、フランスの影響を認めている。

そして英国のアーサー王伝説は、ケルトを源泉に、フランスにおける再構成と、中世英語のコンテキストが混じりあったものだとしている。 トールキンは、アーサー王伝説について、その歴史的な源がどこであるかにかかわらず、それがイングランドの文化的、また神話的な遺産であると認識していた。

こうした、アーサー王的な要素が最も顕著に見られるのは、「べレンとルーシアン」の物語だろう。

例えばLay of Luthienに見られる「fay(妖精)」という言葉はフランスのアーサー王ロマンスによく見られるものだ。このfayはルーシエンに対しても、またその母のメリアンに対しても使われている。

ブリテン島の場合は特に複雑な侵略の歴史があり、言語的にも交じり合っていることから、中つ国の神話を創作するにあたっては、こうした複雑な過程がその中に、意識的であるかどうかにかかわらず、反映されているのだろう。

*論文「the Hsitoricity and Historicisaion of Arthur」

イギリスにおけるアーサー王に関する諸説を纏めたもの。
アーサー王を歴史上の人物と見なすか、伝説における神が人格化されたものと見なすか?
といった命題を中心に、かなり細かい部分まで論議されています。アーサー王伝説に興味のある人にとっては、非常に面白い論文だと思います。筆者の意見では、アーサー王はむしろ「神が人格化」されたものだとしています。

ついでに5週のまとめを書いておきます。

トールキンの主張とする「イングランドに伝わる本当の妖精伝説」はLost Talesの中に書かれています。
それは、
「トル・エレッセアに住むエルフ達が人間に住む場所を奪われ、だんだん形が小さくなって薄くなって、いつしか月影の中に時折見られるような存在になってしまった。それが妖精だ」
というものです。

ただしこのコンセプトは結局破棄されています。そして、何故このコンセプトが破棄されたか?という疑問に対する回答が、Fimi先生の論文の中にあるわけです。

おそらく書簡集等の言葉から、トールキンはケルトやフランス的なものを否定していたとされる事が多いのですが、生涯を通してそうであったわけではない、と主張するFimi先生の論文はなかなか面白いです。私がここにまとめたものは、ほんの一部分です。内容はもっと多岐に渡っていて奥深いものでした。





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2 「Mad Elves and Elusive Beauty」

*Fimi先生の論文「Mad Elves and Elusive Beauty」

長いので概略を書きます。

19世紀の終わりから20世紀の初頭にかけて、アングロ・サクソニズムが国家的な動きとして台頭したが、この傾向が大英帝国がゆっくりと衰退に向った動きに伴っていることも、けして偶然ではないだろう。
一方、アイルランドの復活主義者は、アイリッシュの国民性と文化のアイディンティティを、妖精と妖精民話に結びつけ成功した。しかし、そこにはアイルランドの妖精とイングランドの妖精とを対比させる動きもあった。
Bownが誇張して言うように、「イングランドとアイルランドでは、果たしてどちらにより良い妖精がいるのだろうか?」といった論議にまで至った。

トールキンはこうした論議に対し、「本当の妖精の伝統はイングランドにある」としていた。また自身の創作した神話は、まったくケルトの妖精物語に対峙するものだとしている。だが、後年になると、トールキンは「イングランドの妖精は、ケルトやその他の寓話から大きな影響を受けている」とも書いている。

トールキンは、1930年代に「The Lay of Aotrou and Itroun」という詩を書いている。ケルトの国家であるブリタニーの民話にインスパイアされたものである。また「The Fall of Arthur」 、「The King of the Green Dozen」という二つの未完の詩も書いている。どちらも明らかにケルトの影響が見られるものである。

そしてトールキンが初期に書いた「The Book of Lost Tales」は、「Lebor Gabála Érenn(アイルランド来寇の書)」の枠組みを借りて書かれたものであり、その中で描かれる歴史は、イングランドの民族の侵略をともなった歴史と呼応している。

トールキンはそうした自らの神話の中に、大きくアイルランド神話の要素を取り入れている。そしてトールキン自身のケルトに対する見方も次第に変化が見られるようになる。つまり、ケルトをアングロサクソンの敵としてみるのではなく、共に海からブリテン島に入植した侵略者であり、共に同じ土地に住む民族として捉えるようになったのだ。

それはトールキン自身の次のような言葉からも分るだろう。

For many of us it [i.e. Welsh] rings a bell, or rather it stirs deep harp-strings in our linguistic nature. In other words: for satisfaction and therefore for delight ... we are still 'British' at heart. It is the native language to which in unexplored desire we would still go home (Tolkien
1983a, 194).

長い間、私たちはウェールズ語を、私たちの音韻的な本質の中に、鐘を鳴らす、あるいは深いハープの音をかき鳴らすもののように捉えていた。つまり、満足があり喜びを伴うもなのだ。…私たちはまだ心のうちで「British」なのである。それは私たちの探究心が求める母国語なのだ(適当に意訳しました、ごめんなさい)。

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2 関連資料 ノルドールとトゥアハ・デ・ダナーン


* ケルト神話の概略
ケルト神話はだいたいアイルランドとウェールズに伝わるものを指すようですが、ケルトの人々(民族的に見て)は、紀元前5-3世紀頃(最盛期)には、アイルランドからスペインの一部、ハンガリー、チェコスロバキア、また北のスコットランド、イタリアまで広がっていたらしいです。

アイルランドとウェールズには、早々とキリスト教が伝わり、5世紀には既にケルト教会が設立されていました。
アイルランドには比較的多くのものが書き残されています。
代表的なものが下記で説明する「トゥアハ・デ・ダナーン(Tuath De Dannan)」の伝説です。
ウェールズのものは口承で伝えられることが多く、残された文献は少ないようです。
しかし中世の「アーサー王伝説」は、ウェールズの神話と結びついていると書かれています。

ケルト神話に関する日本語のHP
http://www.h4.dion.ne.jp/~kotozuki/
の中の「神話概説」の項目にあります。

*Sacred Textにあるアイルランドの神話より「トゥアハ・デ・ダナーン(Tuath De Dannan)」の話

神話というか、割と素朴な民話と民族間の戦いがごたまぜにになった感じの話です。
特筆すべき事は、この中にシルマリルに出てくるノルドールエルフのモチーフとなったと思われるものがあることです。

例えば、
戦場でダーナ神族のNuaduが片手を失い、同時に王権も失ったこと。
(マエズロスのエピソード)
ダーナ神族は船でアイルランドに向うが、たどり着いた岸でその船を燃やしてしまうこと。
(ロスガールの船焼き)

です。ケルト神話はあまり読んだことがなかったので、ノルドールとケルト神話との間に関連性があるとは思っても見ませんでした。これは新鮮な発見でした。

*Fimi先生の論文「Mad Elves and Elusive Beauty」

長いので明日にします。

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1 トールキンと「ケルト的なもの」

今回は特に関連資料は無いのですが、Fimi先生の講義内容をまとめます。

トールキンは、その書簡の中で、ケルト的なものを否定している時がけっこうあります。
しかし、実際にはトールキンの所蔵には、ケルト語に関する書籍だけでなく、アイルランドやウェールズのケルト系の中世文学が大量にあったようです。トールキンは独学でウェールズ語を学び、「Mabinogion(ケルトの神話)」の原書を一部読むこともできたようです。ただし、アイルランド語に関してはまったく駄目だったらしいです…。


つまりトールキンは並々ならぬ興味をケルト文化に対して抱いていたのです。それは、「アーサー王伝説」とも関連のある「サー・ガウェインと緑の騎士」の翻訳にも表れています。
また、ケルトに関する関心は、トールキン教授の未稿「Notion Club Papers」の登場人物の一人、しかもトールキン自身を反映しているという“Ramer”が、フィン・ウゴル言語学の教授でありロマンス小説の作家であり、ケルト語と古物にも興味があるという事にも見られます。

ただしトールキンは

「the Engle(English) have the true tradition of the fairies, of whom the Iras(Irsh) and the Wealas ( Welsh) tell garbled things" という具合に、妖精の本当の伝統はイングランドにあるのだと主張します。

アイルランドやウェールズはどう考えても妖精の本場のような気がするんですが?

というわけで次に進みます。

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第5週 トールキンとケルト

第5週 です。

トールキンとケルトについてです。

講義内容は

1 トールキンと「ケルト的なもの」

関連資料
特になし

2 ノルドールとトゥアハ・デ・ダナーン

関連資料
* ケルト神話の概略
*Sacred Textにあるアイルランドの神話より「トゥアハ・デ・ダナーン(Tuath De Dannan)」の話
*Fimi先生の論文「Mad Elves and Elusive Beauty」

3 別世界ケルトと短い作品

関連資料
*論文「the Hsitoricity and Historicisaion of Arthur」
*Fimi先生の論文「Celtic Types of legend]

今回は関連資料が少なくて助かりました。

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