ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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3 さらなる影響、トールキンとスペンサー、ミルトン関連資料



*スペンサーの紹介、「妖精の女王(Fearie Queene)」や他の詩
スペンサーはシェークスピアと同時期のイングランドの詩人です。やはりシェークスピアと同じくトールキンはこの詩人を嫌っていたそうです。有名な「妖精の女王」はエリザベス女王一世に捧げられたもので、未完にもかかわらずかなりの成功を収めたそうです。
スペンサーが「妖精の騎士」をエルフと表記したことに対し、それが妖精の本来の伝統であると肯定しながらも、トールキンは彼の書いたものは(トールキンの嫌う)寓話であるとして、嫌ったとのことです。
シッピー氏は、指輪物語の「エルロンドの御前会議」の章でビルボがくちずさんだ詩は、「妖精の女王」に出てくる魔法使いマーリンの予言からの影響がみられることを指摘しています。

*Zach Watkinsの論文「Satan and The Silmarillion: John Milton's Angelic Decline in J. R. R. Tolkien's Melkor」

ミルトンはそれより後の作家です。「失楽園」が有名です。トールキンがミルトンを名指しで嫌ったような記録はないのですが、シッピー氏はおそらくトールキンがあまり好かなかった作家として分類しています。ミルトンはプロテスタントであり、トールキンはカソリックであることも一因なのでしょう。
ですが、ミルトンが「失楽園」で示した善きものの堕落といったテーマは、トールキンが作品の上でも、また人としても重要視した主題だったのです。

Zact Watkinsの論文では、「失楽園」の堕落した天使、サタンと堕落したヴァラ、メルコールの共通点に注目しています。また、「失楽園」の序説を書いたC.S. ルイスの影響も少なからずあるだろうとしています。
私も去年ぐらいに岩波文庫の邦訳を手にしたのですが、サタンとメルコールがよく似ていることに驚きつつ読んでいました。

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2 トールキンとシェークスピア 関連資料



*シェークスピアの「マクベス」の紹介
*シェークスピアの「マクベス」の全文
「マクベス」は有名なので割愛します。あの「バーナムの森」です(笑)。
トールキンのシェークスピア嫌いは有名です。シッピー氏は、当時オックスフォード大学では、シェークスピア以降の文学を教える一派と、古英語を教える一派との間で争いがあったという点に注目し、トールキンの当時の立場に言及しています。

が、ただ嫌いだったわけでもないのですね。
「マクベス」や「真夏の夜の夢」を深く読んでいなければ、そこからインスピレーションを得るということも無いですから。


*Michael D. C. Droutの論文「Tolkien's Prose Style and its Literary and Rhetorical Effects」
Michael D. C. Drout氏はアングロ・サクソン語の教授で、「Children of Hurin」が出たときにも、書評をいち早くブログ(http://wormtalk.blogspot.com/)に書かれていました。
実際、私は初めてDrout氏の論文を読んだのですが、これは非常に面白い論文でした。王権といったテーマを中心に、「リア王」と「指輪物語」の関連性を紐解くものです。

リア王、デネソール、ナズグルたちの首領との共通点を見事な三段論法で解き明かしています。私は三段論法の活用法を、ここで初めて理解しました。

リア王とデネソールの共通点は明らかです。では何故ナズグルの首領(Ring Wraiths)も共通とされるのか。

ナズグルの首領、すなわち指輪の幽鬼は、もともと人間であったとされています。人間達のうちでも高貴な王であった彼等がサウロンから与えられた指輪によって支配され、堕落したのです。Drout氏は、おそらく彼等はヌメノールの血筋を持つ王達であろうとしています。
確かにアルダに住むの人間達の中でも最も尊い血統はエアレンディルの血を引くヌメノール人です。

一方、デネソールにもヌメノールの血は流れています。もし、デネソールが何らかの手段で指輪を手に入れた場合、指輪の幽鬼と同じく指輪に支配され、堕落し、やはり彼も指輪の幽鬼と成り果ててしまう可能性が非常に高い。つまりデネソールは指輪の幽鬼の候補者であったということです。

そしてリア王と指輪の幽鬼の関連性は、次の台詞の類似性から導き出すことができます。

リア王
「Come not between the dragon and his wrath」

ナズグルの首領(指輪の幽鬼)
「Come not between the Nazgul and his prey」

リア王は自分自身を竜に見立てて比喩としていっているわけですが、この二つの台詞が良く似ていることは一目瞭然です。そして、この台詞はどちらも自分自身を失ってしまった王(元王)の台詞でもあるわけです。

このようにDrout氏は、リア王、デネソール、ナズグルの首領のトライアングルを解明しています。

さらには、上記のナズグルの台詞を文の構造から分析し、一見ただのアナクロニズムとして受け取られそうな(実際そう見ている人も多い)トールキンの文章は、実は自身の審美学に基いて構築された見事なものであることを証明しています。

シッピー氏といい、Drout氏といい、やはり名だたるトールキン研究者の論文は凄い!




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1 トールキンと「古典の伝統」 関連資料編集 続き

*ローマの詩人ウェルギルウス作のアイネーイスの紹介

wikiでは「アエネーイス」と表記してありました。
ウェルギリウスがホメロスの「トロイ戦争」を基にして書いたものです。何故ここでこの作品が出てくるかというと、

この物語の主人公アエネアスの性格や経歴がアラゴルンと共通する点があること。
また、フロドの旅の展開がこの物語の展開と共通する部分があること。

です。アエネアスは祖国のトロイが失われて失意のうちに放浪し、やがてイタリアの中央地域にたどり着きます。ここがローマであり、後のローマ帝国の繁栄が示唆されます。失われた祖国、その放浪がアラゴルンと共通しています。また、アエネアスはその遍歴の旅の途中で「ハデス」つまり冥界へ旅をします。この冥界への旅は、フロドの旅の通過地点である「モリア」や「死者の沼地」になぞらえることができます。

しかしトールキンはウェルギリウスの作品に対し、賞賛ばかりを抱いていたわけではなく、不満も感じていたようです。ウェルギリウスは、ホメロスの「イリアッド」や「オデッセイ」といったギリシャの原文を脚色し、新たな物語(詩)をラテン語で書いたのです。この事についてトールキンは、

「Alas for the lost lore, the annals and old poets that Vigil knew, and only used in the making of a new thing!」
(とりあえず訳してみます)
「ああ、失われた伝説よ、ウェルギリウスは年代記と古詩を知っていたのだ、だが彼はそれをただ新しい物語にのみ費やしてしまったのだ」
(Beowolf; The Monster and the Critics' からの引用)

シッピー氏によれば、トールキンはこの言葉のうちに、「新しい物語」に集中することが大切なのだという意味合いを込めたのだとしています。
しかし、(Fimi先生の意見では)やはり「Alas」という言葉にはやはりトールキンの失われた伝説に対する嘆きが読み取れるものとしています。そして、これらの失われた年代記の雰囲気を再創造する試みが、History of the Middle Earthにある各種の年代記(annals)なのだろうとしています。

*Sacred Textにある、「アイネーイス」の英訳
未読です。

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1 トールキンと「古典の伝統」 関連資料


この講義では古典の中でも、特にアトランティス伝説を中心とするラテンの古典を取り上げています。
 
まず
*Verlyn Fliegerの論文「Do the Atlantis Story and abondon Eriol-saga」

アトランティス伝説とヌメノール伝説は、多分トールキン研究者にとって良く出てくる命題でしょう。この論文では、初期の「Lost Tales」 そして中期の「Lost Load」、また「Nothin Club Paper」、と時系列にトールキンの作品を見ながら、その中でヌメノールの物語、つまりアトランティス伝説がどういった役割を果たしているのかを追っています。

クリストーファー・トールキンは(HoMe10)で、 「父が“アトランティスの物語を進めよう”と書いたとき、同時に“エリオルの神話を破棄しよう”という意味もそこに込められていたのだ。」
と書いています。

ですが、Verlyn Fliegerは、むしろヌメノールの投入によって、神話的な物語に心理を追求するような要素が加わったのだとしています。
初期の「Lost Tales」では、トル・エレッセアが結局イングランドとなるのですが、後期になるに従いそういった現実の地理との関連性は薄れ、ヌメノールの伝説の投入によって、トル・エレッセアは現実の地理上の拠点を失います。それは、単に昔のアイディアを破棄したということではなく、むしろ、現実の地理との結びつきよりも、自身の神話とアトランティス伝説を結びつけることにより、根源的なイングランド人の記憶と深層心理を描き出すものにしようとしたのだ、という主張です。

(トールキンとアトランティス伝説に関してはカーペンターの伝記を読むと一番良く分ると思います)

*プラトンのアトランティス伝説の簡単な紹介

私はついでに日本版のwikiを読んでおきました。wikiはけっこう詳しいです。

*Sacred Textにある、「Timaeus and Critias」の英訳

プラトンの「Timaeus and Critias(ティマイオスとクリティアス)」英訳です(Sacred Textにはラテン語版までありました)。読んでません。wikiよりもこっち読んだ方がいいとは思うのですが、、、、。

*トールキンのヌメノール伝説の紹介
邦訳の「シルマリルの物語」、「おわらざりし物語」に出てくるヌメノール伝説の要約。

*Miryam Libran-Morenoの論文「Paralle Lives: the Sons of Denethor and the Sons of Telamon」

デネソールの息子達とギリシア神話のテラモンの息子達の共通点を綿々書き綴った論文です。
父テラモンに愛される長男アイアスと異母弟テウクロス。この二人の兄弟は仲が良く、テウクロスはアイアスの盾の影から弓を放っていたとあるほどです。また、長男が向こう見ずな勇猛さを示すのと対照に、次男は冷静で常に控えめというところも似ています。ボロミアとファラミアも性格はまったく異なりますが、非常に仲が良く、ボロミアは小さいファラミアを常に「守って」いました。

トールキン自身によるラテンの古典の影響を示す直接的な発言や文章は残されていないのですが、デネソールの息子達は、上記のラテンの古典をモデルとしたものだと推測されます。
もっともトールキンは幼少時からラテン語を習っていましたし、自身の創造言語も古代のギリシア語がきっかけとなったのだと述べています。トールキンは成長するに従い、北欧の、つまりアングロサクソン的なものへの傾倒をあらわにしていくのですが、決してギリシア・ローマの世界をないがしろにすることは無かったのです。
筆者によると、むしろラテンのクラシックと、北欧の文化の融合がトールキンの世界に見られるのだと言うことです。

残りはまた明日書きます。

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第6週 トールキンと古典

第6週 です。

トールキンと古典、具体的にはシェークスピアの「マクベス」、「リア王」、プラトンのアトランティス伝説、ミルトンの「失楽園」等が出てきます。

講義内容は

1 トールキンと「古典の伝統」

関連資料
*Verlyn Fliegerの論文「Do the Atlantis Story and abondon Eriol-saga]
*プラトンのアトランティス伝説の簡単な紹介
*Sacred Textにある、「Timaeus and Critias」の英訳
*トールキンのヌメノール伝説の紹介
*Miryam Libran-Morenoの論文「Paralle Lives: the Sons of Denethor and the Sons of Telamon」
*ローマの詩人ウェルギルウス作のアイネーイスの紹介
*Sacred Textにある、「アイネーイス」の英訳

2 トールキンとシェークスピア

関連資料
*シェークスピアの「マクベス」の紹介
*シェークスピアの「マクベス」の全文
*Michael D. C. Droutの論文「Tolkien's Prose Style and its Literary and Rhetorical Effects」


3 さらなる影響、トールキンとスペンサー、ミルトン

関連資料
*スペンサーの紹介、「Fearie Queene」や他の詩
*Zach Watkinsの論文「Satan and The Silmarillion: John Milton's Angelic Decline in J. R. R. Tolkien's Melkor」

先週の復讐かと思うくらい、資料が多いです。くそこのやろう(Fimi先生は女性ですが)全部読めませんわ。
では、明日続きを書きます。

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