ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

05/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./07

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

category: スポンサー広告

[edit]

trackback: -- | comment: --
page top

白い城 by オルハン・パムク

オルハン・パムク
ちょっと前ぐらいに話題になっていたようだったので読んでみた。原書ではなく邦訳で。
お前が私私がお前といったコンセプトは特に目新しいものではない。物語世界を構成する概念の基軸はボルヘスの「不死の人」とほぼ同じだ。つまるところはその応用であり、ボルヘスの基本概念を東洋と西洋が出会う場所と時代に落とし込んで展開させるとこうなるといった感じ。
白い城が既存の作品群と際立っている点は(際立つ点がなけりゃノーベル文学賞などもらえないだろう)パムクが読者をあからさまに誘っていることだ。
読み終えたら、さあ物語の最初に戻って、傍線を引くなり、付箋をつけるなりして、この物語を解き明かしてごらんなさいと。
残念なことに、ウェブでざっとレビューを見た限り、パムクの誘いに応えた日本の読者はいないらしい。私もちょっとごめんなさいしてしまう。これ一冊の解読に費やす何十時間で、他の作家の本が何冊か読めるだろう。と思うとねえ。しみったれてるわね。ごめんなさい。
もっとも、パムクが日本で激しく売れたり、映画化してブームになったりすれば(つまり個人的な楽しみではなく何らかのコミュニケーション・ツールとなれば)そういう読みをして何十、いや何百時間費やそうと構わない人が出てくるだろう。まあそれはこの本とは何の関係もない時代の(日本の?)現象なのだけど。
謎解きまでしなくても、十分読み応えのある作品だ。また物語の末尾近くに提示される

「その種の物語を書き連ね、奇警を己のうちに探し求めるうち、われわれ自身のみならず――神よ守りたまえ――それを読む者も、まったく別のものに変じてしまうからです」

このセリフには一瞬胸を突かれた。ぎくりとなり、我に返った。才能に恵まれた一部の人にしか生み出せない一文だろう。中身ははったりなんだけどね。
だが私の個人的な嗜好からすると、この作品は少し饒舌が過ぎる。難解というよりは、晦渋な表現を選り好む傾向があって、それがあまり好きではない。

評点
読んでしまったクマ~度 ☆☆☆☆
もうこの世界に入ってしまいたい。もう現世には戻りたくない度 ☆☆☆
出家托鉢度 ☆☆☆
梵書度 ☆
バスタブ水没度 ☆☆
積んどく度 ☆☆


スポンサーサイト

category: 読書感想

thread: 読書感想文

janre: 小説・文学

[edit]

page top

Cloud Atlas by David Mitchell

http://www.amazon.com/Cloud-Atlas-Novel-David-Mitchell/dp/0375507256
ジャンル:小説 SF 
六世代にわたる六本の物語をひとつに構成して見せた作品だ。よほど頭が良くなくては書けないだろう。天晴れというか、お見事というか。米アマゾンの評価も多い上に点数が高い。
もっとも「だからなに? 何が面白いの?」という評価もあった。分からないでもない。
この構成の妙をほうほう見事よのうと、楽しんで読めたことは読めたんだが、ここまで手の込んだ造りをしているのだから、最後に特別なメッセージが浮上したり、大きな図版が読み取れたりしないかとどこか期待してしまうのだ。もっともそれが出来たとすりゃ古典的名作に匹敵する作品になるわね。『ユリシーズ』とか『失楽園』とか『神曲』とかそんなんあなた無理よ……。

デストピアからUターンして、物語の最初に戻った最後に打ち出されるメッセージはポジティブかつシンプルなもの。
読み終えた後、今まで文明の先駆者でありいわゆる白人として世界を支配してきた白人種が、その支配を失いつつあることを嗅ぎ取り、その喪失を恐れる感情がこの作品の裏側に垣間見えるように思えた。ストロースの持つ熱帯へのあこがれとそれを壊した罪悪感のあとにくる西欧人独特の感情。自分たちの支配が揺らぎつつある時代に生きる彼らが感じる漠然とした脅威。そして、恐れつつも、やはりこの地球上の今なお支配者層として君臨する者のプライド、矜持。


評点

読んでしまったクマ~度 ☆
(難易度の高い単語が多くて読むのしんどかったという理由もある)
もうこの世界に入ってしまいたい。もう現世には戻りたくない度 ☆☆
出家托鉢度 ☆☆☆☆☆
梵書度 ☆
バスタブ水没度 ☆☆
積んどく度 ☆☆☆☆

点数が全体的に芳しくない一因に、日本人の私が読むのに辛い文章だというのがある。非ネイティブにとってはある種の苦行だわよ。なんで全体的にはもう一段底上げしてもOK。

category: 読書感想

thread: 読書感想文

janre: 小説・文学

[edit]

page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。