ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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1937年12月16日の手紙より……:トールキンはケルトがお嫌い(@_@)??

今回はさやうぇんさん主催の
トールキンが好きな人のためのアドベントカレンダー
に参加しています(*´▽`*)

未邦訳の書簡集の中から、本日の手紙を紹介いたしましょう。、
さて、88年前の今日、トールキン氏は一体どんな手紙をしたためていたのでしょう……(o^―^o)ニコ

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

1937年、日付は12月16日書簡集No.19。宛先は、ホビット出版元の社長、スタンレー・アンウィン氏です。ホビットがめでたく刊行され、売り上げも好調で、アンウィン氏はトールキンの次作を強く望んでいました。この手紙の数か月前、トールキンはすでに書き上げていた初期版シルマリルリオンをアンウィン氏に送っています。その原稿をアンウィン氏は数名の読者に試読させ、彼らから得た批評および感想をトールキンに渡していました。さて、その反応や如何に……。
以下に本文を要約いたします。多少砕いた感じになっておりますが、お許しの程をペコリ(o_ _)o))


体調不良および、諸事情により、筆不精をお許しいただきたく。
お送りしたシルマリルリオンが拒絶の憂き目を免れたようで、いたく安堵しております。
いつの日かこのシルマリルリオンを世に出したいと強く願うようになりました。

しかし、しかしあの「名前」については貴社の読者を大変驚かせてしまったようで……
……でも、あれはあれでよいのです。二つの言語(自作言語)から成り立っているのですから。
でも……

あれはケルト風(Celtic)ではないのです! 物語も言語も間違ってもケルト風では……!!。

ケルト風に関しては幾許かの知識はありますが、私自身どうにも不合理に感じてしまい楽めないのです(はっきり言って嫌い)
ケルトは鮮明でありながら、割れた色硝子のように無秩序であるように思えます。つまり、読者の言うがごとく「狂って」いるのです。でも私は狂ってはいませんから。

ともかくあの文体が目的にかなったものであることが分かって、私は実に励まされました

私が送った作品は貴社の期待に沿うものではないと分かってはいたのですが、少なくとも、個人的な価値以外があるかどうか知りたかったのです。もちろん、「ホビット」の続編なるものが求められていることは承知しております。けれども、私の心はこの創作神話と二つの創作言語でほぼ一杯であることを分かっていただきたいのです。
ホビットの続編はごにょごにょ(意訳です
善処いたします(意訳です)。
コメディ的なものは、もっと子供向けにしないと野暮ったくなりそうだ。
しかしオークや竜の本領発揮は、まだまだこれからです。
ご期待あれ!

(以降全文意訳です

送ったイラスト返してくださいね……講義で使う予定なんです。
あと、ホビット何冊か著作者用のお値段で分けてくださいませんか? クリスマスプレゼント用に……。
ではよい航海を! 私はラジオに出る予定です! よろしく!

J.R.R.Tolkien



と、本文はここまでです。
終わり

よいクリスマスを!!

では終わりません(*´Д`*) ごめんよ〰

少し内容に踏み込んでいきましょう ズカズカ


ホビットの次作を期待したアンウィン社に送ったのは、現在『シルマリルの物語』として出版されている物語の初期草稿(シルマリルリオン)だったのです。そして、読者の反応はといえば、当然かなり戸惑った様子で、ある読者は「ケルト風であり、アングロサクソン人は困惑するだろう」といったものでした。

それで、トールキンは
Not Celtic!
と猛反発しているのです。

しかし、これは、トールキンの創作言語に興味をお持ちの方、PJ映画で音楽に興味を持たれた方はきっとびっくりされたのではないでしょうか。
→あれはケルト風(Celtic)ではないのです! 物語も言語も間違ってもケルト風では……!!。
(え、指輪物語ってケルト風じゃないの???)
→ケルト風にしては幾許かの知識はありますが、私自身どうにも不合理に感じてしまい楽めないのです(はっきり言って嫌い)
となるともう(え。どーゆーこと?! 嫌いって??? )

って疑問符いっぱいつけたくなるのでは……。

訳文が怪しいかもしれないので原文引用しますね。

*

(原文)
Needless to say they are not Celtic! Neither are the tales.
I do know Celtic things (many in their original language Irish and Welsh). and feel for them a certain distaste:largely for their fandamental unreason. They have bright color, but are like broken stained glass window reassembled without design. They are in fact 'mad' as your reader says--but I don't believe I am.

(拙訳)
あれはケルト風(Celtic)ではないのです! 物語も言語も間違ってもケルト風では……!!。

ケルト風にしては幾許かの知識はありますが、私自身どうにも不合理に感じてしまい楽めないのです(はっきり言って嫌い)
ケルトは鮮明でありながら、割れた色硝子のように無秩序であるように思えます。つまり、そなたの読者の言うがごとく「狂って」いるのです。でも私は狂ってはませんから。

*

このケルトに対する嫌悪を表明した一文をちょっと読み込んでいきましょう。

映画では、エンヤ等のケルト系フォルクロールの歌手が起用され、騎馬文化のローハンを描くにあたり、ケルト文様があしらわれていました。
また教授の創作言語でも、ケルト系の言語の影響は明らかです。
トールキン研究でもみなさまご存じの辺見葉子氏の論文から少し引用してみましょう。

「より具体的に言うならば、ウェールズ語(ケルト系言語)の音韻体系をモデルにトールキンが創造したシンダリンというエルフ語から作られているという意味である。」

とあります。

こうなると、言語学者たるトールキンが、創作言語シンダリンと密接に関連する「シルマリルリオン」で、作風がCelticであることを強く否定するのは実に理解しがたいのです。

単なる気まぐれか? あるいは、トールキンのケルト観があるとき180度変遷したのか?

これはローハン文化と、創作言語(エルフ語)からの観点だけでは切り崩せない壁のようです。


長くなりそうなので一旦分けましょう。

次回、この壁をベガーしていきます。キーワードは「神話、イングランド」です。

よろしくお願いします(o*。_。)oペコッ










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