ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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Bright of the Sky (Entire and the Rose, Book 1) by Kay Kenyon



ジャンル:文字通りのSFファンタジ―
対象:青年から大人向け
アマゾン:http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/1591025419/
フィリップ・K・ディック賞、ジョン・W・キャンベル新人賞にノミネートされた作家だそうだ。

のっけから宇宙ステーションやワープなどという単語が目に飛び込み、すわ古典的SFへの回帰か? と思いきや全くそうではなかった。一応さわりなんぞを書いておこう。

――時は23世紀、ミネルヴァ社の宇宙船が一隻、星空間に消えた。一人生還したパイロットは記憶を喪失し、廃人同様。この事故で妻と娘を失い、すっかりひきこもりとなった彼が主人公クイン(Quinn)。さて、今度は宇宙の彼方で実験を続ける同社の宇宙船のAIにトラブルが発生。原因を究明すべくクインは再び宇宙船の操舵を握るよう命じられる。だが、彼はまたもや宇宙船と共に姿を暗した。そして舞台は異次元へ。クインがたどり着いた場所は、タリグ(Tarig)という神の種族が地球の文明を模倣することによって作り上げた異世界エンタイア(Entire)だった。前回の失踪の間、クインは自分がこの異世界にいたことを思い出す。そう、彼は再びこの世界に戻ってきたのだ……。


各種レビューをざっと見たところ、この「エンタイア」の概念が下記に紹介したラリイ・二―ヴンの「リングワールド」と通じるものがあるとする評がいくつかあった。だが、「リングワールド」が物理法則の上に成り立ち、科学的な論拠で説明可能な世界である一方、「エンタイア」はそうした物理法則そのものが崩され、世界の成り立ち、すなわち神話部分から築かれる。
ここにファンタジーとSFの線引きを見てとる事ができるだろう。つまり、一般的な物理法則が通じるか、否かである。この作品は、地球の部分を「SF」とし、エンタイアの部分を「ファンタジー」として組み立てることで、この二つを融合させようと試みる野心作なのだ。
また主人公クインは多くのレビューでアンチ・ヒーローと冠されているが、なるほどかなりねじくれた性格設定となっていて、なかなか楽しめる。弟夫婦との関わりを描く場面なども、心理ドラマにある肌理の細かい感触があり好感が持てる。いや……持った。持っていた。が。

ストーリーが本格的に展開し始め、エンタイア内の権力闘争に加えて、エンタイア、地球間の宇宙戦争の勃発が兆しを見せる段階になると、主人公のアクションヒーロー的要素が一気に強くなる。私が好感を抱いた落ち着きのある雰囲気もいつの間にやら消えうせた。先へと読み進めるうちに不安が募りはじめる。物語や主人公のこれからというよりも、作者が今後これをどう処理するのかが気にかかるのだ。こうした不安を読者に抱かせるのはちょっとまずい。「エンタイア」の世界観も大まかには掴めるのだが、説明が不十分なせいか読み手にはっきりと伝わらないところがある。

面白いことは面白い。二ジャンルの融合という高いハードルに挑む姿勢も評価したい、が、全四巻の一冊目を読み終わり、さて茶でも入れるかという気分である。うん、まあ、そうだね、気が向いたら続きを読もうか。

評点

読んでしまったクマ~度 ☆☆☆
もうこの世界に入ってしまいたい。もう現世には戻りたくない度 ☆☆☆
出家托鉢度 ☆☆☆
梵書度 ☆
バスタブ水没度 ☆☆
積んどく度 ☆☆☆




category: 読書感想

thread: 読書感想文

janre: 小説・文学

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