ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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ハイぺリオン ハイぺリオンの没落 by ダン・シモンズ



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『ハイペリオン』 - 1990年ヒューゴー賞、ローカス賞受賞。1995年第26回星雲賞海外長編賞受賞
『ハイペリオンの没落』 - 1991年ローカス賞受賞。1992年イギリスSF協会賞受賞。1996年第27回星雲賞海外長編賞受賞
上記の二作の後、『エンディミオン』『エンディミオンの覚醒』と続いてようやく完成する。エンディミオンはまた機会があれば読もうと思うが、ハイぺリオンの二部作だけでも相当にボリュームがあり、内容も濃ゆい。質実共に超のつく大作の名にふさわしい作品なのだろう。

序章ともいえる『ハイぺリオン』は、選ばれた六人の巡礼者が、辺境惑星ハイぺリオンにある「時間の墓標」に向かう旅路で、順番に各自の物語を語る形式を取っている。ひとつひとつが完結した物語で其々面白いことは面白いが、各物語間の繋がりが見えてくるまで、ちょっとまどろっこしい。だが六つのストーリが繋ぎ合わされ、一つの視点から様々な謎が明らかにされてゆく『ハイぺリオンの没落』の後半は圧巻の一言。『神曲』の地獄篇をも凌がんと、阿鼻叫喚の地獄絵図が連発花火のごとくに放たれる。エネルギッシュな展開に圧倒されまくりだったが、あんまりにも連続でおいでなさるので、途中で作者の意図するイメージを自分の頭の中に構築するのが面倒くさくなってしまった。すんません。

重厚で格調高い雰囲気を保ちながら、緻密な描写で明確なイメージを形成する文体は魅力的だ。物語構成も複雑で、中には禅問答のような部分もあったりするのだが、いわゆる「難解」な作品ではない。SFで難解というとジーン・ウルフしか思いつかないが、ウルフの場合、一読では何が言いたいのかさっぱり分からないエピソードや物語の下に作者の意図が埋め込まれていて、それが浮き彫りの彫刻のように触覚として感じられる……気がする。ただ私は作者の意図をきちんと読みとれるほどの知識知力に欠ける上に、複雑怪奇な謎の解読に時間を費やす気力もない。

ハイぺリオン二部作の場合、文章を追って行けば大体は意味が掴めるし、分からない部分をとばしても、物語を読み進める妨げにはならない。この作品の難解さは、エンターテイメントの領域内で深遠な雰囲気を醸し出すための演出にとどまっているように思える。そして、まあ最終的には万人が納得のゆくところに落ち着くのだ。これだけ大風呂敷を広げておいてなんだよ、と苦言を呈する人もいるだろうが。

ともかく作者が持てる全エネルギーを投じて書き上げた作品だ。一文一文に漲る力が十分過ぎる位に伝わってくる。大衆向けのエンターテイメントとしては重すぎる気がするが、私個人としては非常に楽しい時間を過ごさせてもらった。もっとも、ウェブのレビュー等をざっと見れば、誰しもが絶賛しているわけではないことが分かる。欠点もいくつか指摘されている。

私が気になった点は二つ。一つは登場人物達に人間的な魅力が乏しく感じられること。『ハイぺリオン』は結構だるかったんだが、私がそう感じた要因として、まず、どのキャラに対してもこれといった思い入れを持てなかったことが挙げられる。プロットの段階で行ったキャラ設定そのまんまで、捻りを何ひとつ加えずに書いてしまったんじゃないかと思うほど。誰か一人でもいい。あと少しの人間的な深みを持つ、出来るならば「萌え」られるキャラが欲しいところだ。

もう一つは長すぎること。半分ぐらいでいいんでないかい?


ところでハイぺリオン二部作は(おそらくはその後のエンディミオンも)、宗教的な要素が濃厚で、中でもキリスト教的な――というよりはそれ以前のアブラハムの宗教における神話が主軸となって全体を貫いている。つらつらと読みながら、何ゆえに作者はそこまで「アブラハムの神」にこだわるのかという疑問が沸き上がってしょうがなかった。この疑問を種として、グダグダな思考が芋蔓式に繁殖してしまったので、それについてまた日を改めて書こうと思う。


category: 読書感想

thread: 読書感想文

janre: 小説・文学

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