ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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Sky Coyote (A Company Novel) by Kage Baker

ジャンル:SFファンタジーコメディ
対象:全年齢対象
アマゾン→http://www.amazon.com/Sky-Coyote-Novel-Company-Book/dp/0380731800


概要

時間旅行も永遠の命も、ゼウス博士のカンパニーの手に掛かればけして夢ではない。ただし、時間旅行といっても未来には行けないし、記録に残る歴史を変えてはならない。永遠の命と言ってもアンドロイドならぬ、サイボーグになって、カンパニーのために働かなければならない。とほほである。
さて、主人公ヨゼフもまた、幼いころにカンパニーに選ばれ永遠の命を授かった。すなわちサイボークとなって、過去の人々とカンパニーの仲介を行うファシリテーターとなったのだ。彼の今度の仕事は、カリフォルニアに住む希少なチュマシュ族を、スペイン人の新大陸征服で絶滅させられる前に、カンパニーが用意した新天地へと移動させることだ。彼らが崇める精霊「スカイ・コヨーテ」の姿を借り、チュマシュ族を説得すべくカリフォルニアの地に下り立つヨゼフ。さてその首尾や如何に。

所感

これもまあ、コンセプトを共通とするカンパニーシリーズ第二作である。前作読んでないが、本作だけでも、設定や登場人物の背景は十分理解できるので問題ない。

ただ私はこの小説を読んで、うんざりというか腹が立つというか、胸に糞が閊えた状態に陥ってしまった。基本コメディで、アメリカのポップカルチャーに相当馴染んでないと感覚的にわからんギャグばかり(みたい)だから、アメリカに行ったこともない私が読んでもちっとも面白くはない。それはしょうがない。私が胸糞に陥ったのは、そこではない。ギャグが理解できないからではない。

西洋文明に汚されたことのない、純粋なアメリカインディアンの、徹底的にシステマティックな保護と保存。このコンセプトに吐き気を覚えるのだ。そして、このコンセプトに何の疑問も持たない筆者とこの作品を好む読者に対してむかつくのだ。物語の中では、ヨゼフの科白を通して人種の差は無意味だなどと語られるものの、このコンセプトそのものが、私からしてみたら白豪主義の地点から一歩も出ていないように思える。

もっとも作品中、チュマシュ族を侮蔑するような描写は一切ない。いや、むしろ一生懸命に現代の文明人とほぼ変わらない意識、倫理性を持った民族として描こうとしている。そうした筆者の姿勢にむしろ薄ら寒い思いを禁じ得ない。これは、私が捻くれているのだけなのか。穿ち過ぎているのか。

そして話の結末はこうだ。
ヨゼフは無事に使命を果たし、チュマシュ族をカンパニーが用意した保護地区へと導く。彼らはもう白人の脅威に脅えることなく、機械文明の恩恵を受けて幸せに暮らす。ただし、もう子供を育てることが出来ない。チュマシュ族はもはや子供を育てたいとは思わないので、一族の誰ひとり意義を唱える者はいないという。なんだこりゃ。一代限り、遺伝子は将来の為に保存される。なんだこりゃ。

彼らが不幸になったとは一文も書かれていない。幸せな結末として描かれる。だが、言いかえれば、彼らはひたすらカンパニーの人類学的サンプルとなって一生を終え、それを幸福と思って暮らすということではないか。吐き気がする。カンパニーが欧米人種ばかりだとはこれまた一文も書かれていないが、どうしても彼らの選民思想というか、優越感が端々から感じられて腹が立つ。

だが、筆者が人種差別的な意図をもってしてこの本(シリーズを)を書いているのでない限り、筆者や、愛読者を差別主義者だと弾劾するのはお門違いではないかと思う。明確な悪意がないのならば、これは単に無神経なだけだ。無神経といえば、日本のアニメだってそうだ。過去によく海外から非難を受けてていたではないか。アメリカより余程人種の多様性がない日本社会でガラパゴス的に爆走しているアニメは、他の文化圏の意識、感情を考慮する必要がない。故に、他国の人々を不愉快にさせてしまうことがままあるのだろう。無神経さと無邪気さで同一文化圏外の者を不愉快にさせている点で、この作品は日本のアニメと共通するところがあると思う。

意識的にしろ無意識にしろ、自身が生まれた血統と文化を最上とし、その他を下位とする精神構造と言うのは、誰かから教え諭されただけで解体できるものではない。それは欧米人種に限ったものではない。日本人だって、韓国人だって、中国人だって、いや、全ての民族が、程度の差はあれ、そうした精神構造をなんらかの形で持ち合わせているだろう。

それにしても、不愉快なものは不愉快なものだ。ギャグが分ればそこそこ面白いのだろうが、全体的に話が冗長で退屈だ。お勧めできる本ではないが、それこそ典型的な選民意識が無邪気に表現されている格好のサンプルとして読むことはできる。




物語の吸引力 ☆☆
ファンタジーの構築 ☆☆☆
説教臭さ ☆☆☆☆
もうこんなんはいらんみたいな ☆☆☆☆☆ 
びっくりしたなあもうみたいな ナシ
途中で読む気がうせたりしたみたいな ☆☆☆☆☆



category: 読書感想

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janre: 小説・文学

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