ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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The Best Horror of the Year Volume 4 edit by Ellen Datlow


ジャンル:ホラー
対象:一般向け
アマゾン→http://www.amazon.com/The-Best-Horror-Year-Volume/dp/1597803995

概要

2011年の短編ホラー傑作選。 Laird Barron、 Stephen King、John Langan、Peter Straub等、18本が収録されている。


所感

キングは骨の袋が好きだ。ただしそれ一冊しか読んでいない。トマス・ハリス(ホラーなのか)はハンニバルシリーズだけだ。つまり、ホラーはあまり、いやほとんど読まない。しかし、今年の七月、暑さに打ちのめされ、少し涼しくなるかなとアマゾンで注文。そしてもう十月だ。それほど面白くは読めなくてだね。ホラーはいずれ種明かしされてコンニャクかイカかなっちまってだね。読み方にもよるんだろうが。それでも惰性でずるずる、だらだら、途中挫折も何本か。いいや読んだことにしておこう。そうさね腰を入れて読んじゃいない。でも読後に跡を残すものがいくつかあった。


MULBERRY BOYS by Margo Lnagan
ROOTS AND ALL by Brian Hodge
DERMOT by Simon Bestwick

この三本には共通する要素がある。一般的にタブーとされがちなテーマに対し、反倫理的ともとれる視点から物語を紡いでいるところだ。

ROOTS AND ALLは近親相姦を描いた作品だが、オイディプスの悲劇にあるような耽美なカタルシスはなく、性的虐待を受けた子供に対する救済もない。父娘、母息子、姉弟の奇怪な関係を淡々と描く。まるで四匹のカタツムリがのたうち性交しているを見るが如くに不快だ。

DERMOTは、障害者が主人公だ。これまた、主人公DERMOTが役立たずに見えて、健常者を凌ぐような大活躍をするパターンかと思いきや、最後には主人公の救いようのない悪癖が暴露されて終わるだけ。

MULBERRY BOYSは、被差別部族がまるでフォアグラ用の鴨のごとくに扱われる。ただ、この作品だけは、一人称で語られる被差別側の意識が澄んでいて僅かな救いがある。もっとも被差別民族が最終勝利を得るといった常套的かつ全人類賛歌的要素はやはりない。あるいは排除されている。


これらの作品は、現代で誰しもが有して然るべき倫理感を物語の中に持ち込まず、むしろ戦略的な冷徹さ、鋭利さでもって、タブーを描いているのだが果たして。

あなたは(いるかいないか分らないが、一応書いておく)これらの作品をどのように受け取るだろうか。どのような反応をあなたの中に見出すだろうか。

(私が勝手に予想するに)、あなたは否応なしに、自分の生の感情に向き合う事になるのではないだろうか。

現代の一般的な教育によって『人種差別、障害者差別反対!』のスローガンが埋め込まれる以前の意識。すなわち自身より身体能力の劣る者に対する、また明らかに「後進国」を象徴する身体特徴を持つ者に対する嫌悪。弱者などできれば排除してしまいたいという利己的な欲求。近親が性的対象になりうる恐怖。それらが、意識の底にあることを知るだろう。

こわいもの見たさ、という点で、これらの作品はまさしくホラーだ。こうした作品に新鮮さを感じる自身もまた、現代の倫理を肯定する己の意識に即して言えば、唾棄すべきもの、見たくないものだ。だが読まずにはいられない。見ずにはいられない。


扱いの難しいところではあるが、障害者に対する意識がさらに高まってバリアフリーが行き渡るごとに、グローバル経済の発展によって白人種以外の民族が力をつけるごとに、こうした姿勢でタブーを描く作品も増えるのではないだろうか(近親相姦ばかりは現代社会に特徴的な事柄ではなく、人類古来変わらずあるタブーであって、この範疇からは少し外れると思うが)。その際、どのようなラインまで一般大衆に受け入れられるか、また許容されるかが、気に掛るところだ。

ところで、楽しみにして最後にとっておいたスティーブン・キングは凡作だった。交通事故で大怪我をしたキング自身の経験が作品に生かされていて、その点は興味深く読める。ただ、最後は痛みの小さな神様がぴょこぴょこするだけで終わってしまった。

短編集なので☆評価は今回なしとする。





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janre: 小説・文学

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