ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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「Tolkien and the Invention of Myth: A Reader」論文その1

Marjorie J. Burns

Norse and Christian Gods:(北欧の神とキリスト教の神)


トールキンが北欧神話の世界に影響を受けていることは第3週にも出てきました。
アイスランドの神話であるエッダ、特にスノッリ・ストルトンが編纂した「散文エッダ」はしばしば書簡にも登場し、トールキンが好んでいたことが分ります。
アイスランド神話には多くの神々が登場します。そうした神々は一神教であるキリスト教からすれば異教の神々であり、信仰することは好ましくありません。
そこでクリスチャンであるスノッリはエッダを読む読者に「北欧神話を尊敬を持って読んで欲しいが、信仰はしないでほしい」と忠告しています。
そして、北欧神話の信仰に対して距離を置くために、「ギュルヴィたぶらかし」という枠組みを導入しています。つまり、ギュルヴィが三人の神から世界の創造やその他の神話を聞くといった枠組みの中で神話を伝えているのです。

トールキンは同じ形の枠組みを初期の「Lost Tales」の中で使用しています。
つまり船乗りのエリオルがトル・エレッセアにたどり着き、エルフ達から古代の神話を聞くという枠組みです。
エリオルがエルフ達から聞く物語は「シルマリルの物語」のアイヌリンダレや、クウェンタ・シルマリルリオンの原型と言えるものです。
これらの物語にはイルーヴァタールによる世界の創造、ヴァラールのアルダ降臨などが含まれるのですが、このヴァラールが北欧神話の神々と非常に良く似た性格を持っています。

北欧神話の神々は、いわゆる荒ぶる原初の神々であり、暴力的で背徳的ですらあり、キリスト教の教義とまったく相反する性質を持っています。こうした特徴はトールキンのヴァラールにも幾分か窺うことができます。Lost Talesの頃のヴァラとヴァリエアは夫婦であり、子供をもうけたりします。またニエンナは「死者の館(House of Dead)」を司る死の女神Fuiという名を持ち、北欧神話のヘルと良く似た性格を有していました。

しかし、こうした初期の特徴は年月を経て「Lost Tales」にさまざまな改変がなされるうちに、ゆっくりと変化していきます。初期の執筆においてヴァラールはしばしばGodと表されているのですが、後期になるとGが大文字ではなく小文字で表されるようになります(*)。さらには、「Holy Ones」と書かれることが多くなりました。「フィオンウェ」はマンウェ夫妻の息子ではなく、マイアの「エオンウェ」となります。そうした変化に伴って、メルコールはより明確に悪の要素を一身に負うようになります。こうしてキリスト教的な善悪が二分された世界が神話の中でも構築され、古代の異教的な世界がキリスト教の世界観の中に組み込まれるようになったのです。



*Godとgodがどう違うのか
例えば、
the Almighty God 全能の神.
the Lord God 主なる神.
God the Father, the Son and the Holy Ghost 父(なる神)と子(なるキリスト)と聖霊, 三位一体.

ですが、
godは、
the gods of Greece and Rome ギリシャ・ローマの神々.
the god of the underworld 冥界(めいかい)の神.
という感じで、Gが小文字になるとなんとなく存在が小さくなるんですね。

category: トールキンオンライン講座 エッセイ

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