ENDOR雑記

束、洋書関連の個人的メモ書き。

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GW終わった。後半は草を毟っていた。Against a dwarf 5 まだまだ続いている。


さて、今回は「悪夢」についてである。

バランガバランガ

それは悪魔くん。


エロイムエッサイムエロイムエッサイム 

OPを貼りたくなるが、それはぼくらの悪魔くんだ。



中世ヨーロッパでは、悪夢をどのようにとらえていたのか?

現代で悪夢を表す“nightmare”は、古英語のmaraから派生した言葉であるという。

語源については異論があるようだが、インド-ヨーロッパ語族の語根のmr(粉砕する、moros(死)、mer(追いだす)、mar(叩く、殴る、壊す)等に関連すると考えられている。

中世の“mare”は、現代のものより狭義であって、「夜にやってくる、形を変える、悪魔的な何か」を指していたらしい。いわゆる夢魔ですな。辞書にもそうでてますな……。

スノッリ・ストルソンのユングリングのサガに出てくるValandeの妻、Drivaがそのいい例だ。彼女はValandeに捨てられてHuldという名のwitch-wifeになり夫に復讐する。

下記、現代英語訳からの引用

when he(Valande) had slept but a little while he cried out, saying that the Mara was treading uopn him.

(一応訳:彼(Valande)は眠っていたが、しばらくして叫び声を上げた。Maraが彼を踏みつけているというのだ)

ここには、眠っている人の上に乗り、その人を苦しめるという“mara”の特徴が如実に表れている。この“mara”とは、エルフであったかもしれないし、ドワーフであったかもしれないが、ともかくそうしたあまり宜しくない想像上の生き物であることに間違いはないでしょう。


そうでせう。

こうした古いゲルマンの魔性を持つ生き物は、キリスト教の傘下に入るやいなや、悪魔側に分類され、サキュバス、リリスといったヘブライ的神話の特徴を持つようになる。それまでは単純に体に害をなすものだったとゆーのに、魂を脅かすーデーモン的特性が付加されてしまったのであった。


以下はうぃきのエルフの項目から、わかりやすいので引用しておく。


ドイツの民間伝承では、エルフへは人々や家畜に病気を引き起こしたり、悪夢を見せたりする、ひと癖あるいたずら者だとされる。ドイツ語での「悪夢(Albtraum)」には、「エルフの夢」という意味がある。より古風な言い方、Albdruckには、「エルフの重圧」という意味がある。これは、エルフが夢を見ている人の頭の上に座ることが、悪夢の原因だと考えられていたためである。ドイツのエルフ信仰のこの面は、スカンジナビアのマーラに対する信仰に一致するものである。それはまたインキュビとサキュビに関する信仰とも似ている[16]。


それからマシューさんは、ヨーロッパ諸国の“nightmare”を列挙していらっさる。



ノルウェー nightmare mareritt
ドイツ         nachmerrie
フランス        cauchemar(to tread on という意味のcaucherから派生)
ポーランド       zmora
クロアチア morica
セルビア m?re
チェコ         muera
ロシア         kikimora
アイスランド martr?d(to squeezeと言う意味のtrodaから派生)

?とかは、文字化けね。アクサンとか出ないのよ。  

インド・ヨーロピアン語に属する言語は、大体“mara”的な要素がnightmareを表す言語に入っていて、“nightmare”は、「睡眠者の上に乗って悪さをする想像上の生き物である」ということに大体の一致が見られる。

と、いうことかな。多分そうだとしておこう暫定的に。


マシューさんは『指輪物語』のゴクリにも“nightmare”的な要素があるという。

The woodmen said that there was some new terror abroad, a ghost that drank blood. It climbed trees to find nests; it crept into holes to find the young; it slipped through windows to find cradles

旅の仲間で、ガンダルフがフロドにゴクリのことを説明している長セリフの一部。闇の森エルフから逃れて彷徨うゴクリのことを、森人がこのように噂しているのだ。

それにしても、邦訳がどっかいったわ。瀬田せんせーの 瀬田せんせーの

うううう。どっかにあるはずだから出てきたらあとで邦訳追加しよう。


しかしこれ、いま読み返してみると、ゴクリがまるで吸血鬼のようじゃないか。あの血色わるそうな、ヘモグロビンはどこにいったのかという体ならば、多少の血をあげてもいいんじゃないか赤十字。

それはともかく、夜中に部屋に入ってくるところが実に“nightmare”だとマシューさんは言いたいようだ。

いや、こなくていいよゴクリ……。





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GW中盤ですが、ドワーフどうでしょう的な Against a Dwarf 4 

GW 中盤の始まりである。
カンパチとか青梅街道とか重体ラッシュ。
渋滞……
おーう渋滞ラッシュ―

あとオンライン主婦のおしごと、アンケートがたまるわーたまるわー
メール開けたくないわー



ドワーフいきませう。


前回、精神、夢の解釈まで行きました。なんで夢の解釈だったのかというと
お呪いの前半で、「七人の眠りの聖人」がでてくるから、これは「睡眠あるいは夢」に関するものだろうと推測できるからである。

そんで夢の次は「疾病」について説明してくれている。
なんでかというと、後半に「これは病んだものを決して傷付けはしない」とあるからだ。
この二つを混ぜ合わせると、このおまじないは睡眠に関する病気を治すものだということがわかる。

それで中世アングロサクソン人たちが有していた病気の概念が論説されている。

どうやら当時のアングロサクソン人には、医学とか医術といった有難いものはまだ導入されておらず、病気や怪我をした時にも、ほぼシャーマニズムに頼っていたようだ。

そうしたシャーマニズム的な解釈は、幾つかの古い「言葉」から推測することが出来る。


ひとつには、“elf shot”。

エルフやその他の魔物が、悪意をもって眼に見えぬ矢を人に放つ。矢を受けた人は病気になる。

ここでいうエルフは恐らくダークエルフ系のものだろう。その他の魔物はドワーフも含んでいるらしい。fairy strokeなんてのもある。

つまり、エルフやその他のあまり性質のよからぬ種族が、病気の元だと考えたていたらしい。

ここでトールキン豆知識! とか書くと、マニアぽくていいねえ。実際そうでもないんけどね……。

『旅の仲間』でレゴラスがギムリに「ドワーフの強情っぱり」とか言ってるが原文は

A plague on dwarves and their stiff necks

となっている。

同様にアラゴルンのセリフ「エルフの強情っぱり」というところも

a plague on the stiff necks of Elves

なんですな。いや、この“plague(疫病)”というところが味噌ですな。


そして“pixy led”は精神疾患を表すらしい。


また、“hagridden”という言葉もあり、現代の辞書では「悪夢に悩まされた(ような); うなされた(ような)」となっているが、中世のアングロサクソン的には、睡眠中にそうした宜しくない種族に乗っかられて、うなされている状態を指すとのことだ。

つまり“悪夢”なんである。

だから次は悪夢から始まると予告いたします。


どうでもいいが、巷に流布している『アイアンマン』という映画のタイトルを、アンアンマンという感じに空目してしまい、なんとなくおいしそうだなと思った。

餡餡マン

漢字にすると糖尿病になりそうな中年男ぽくてどうしよう。






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マシューはいにしえの夢に思いを馳せる  Against a Dwarf その3


マシューさんはDreaming of Dwarvesという論文の作者のファーストネームである。

「さん付け」すると親しみがでてよいと思う。「たん」でも「P」でもいいと思う。


自分が感じる親しみの程度によって勝手につけるわけだが。もっとも表題には「さん」を付けなかった。ごめんなさい。なんとなくつけない方が詩的かなと思っただけで。



まあいいや。


ともかく論文。前半が昔の精神とか、心理とか、ギリシア時代にまで遡って説明してくれている。

夢の概念とか、ソウルとか北京とかラバーソールとかパラソールとかパラゾールとか違うけどそんなん。


遡り過ぎじゃないかと思うが。ともかく


昔のギリシアの人たちなんぞは夢は魂が本当に体験したことだと考えていた。

アウグスティヌスの“On Genesis”(創世記注解でいいのかな?)によると、

夢は魂の奥深くにある記憶を活性化させるもので、眠っている人が夢に見るイメージは、現実と同程度の重要性を持つものである。

としている。

そーですか。


そして、このお呪いが唱えられたのはアングロサクソン時代のイングランド。
キリスト教が広まりつつあるが、それ以前の異教的な要素もまだまだ根強く残っている頃あいらしい。

この頃のアングロサクソンの人は、

魂自身が神と心的なものに通じている、と考えていた。

そして夢は「魂が体を離れて彷徨い見るもの」と考えていたらしい。(吟遊詩人が残したワンダラーとか、べ―オウルフの詩歌から考えるに)

この点で、ギリシア時代の人たちの考え方に通じるものがあるわけだね。

ふむふむ ほむほむ


夢は神の見せるものであり、予言であり、夢は精神の旅であった。
よって眠って夢を見ているひとの魂は肉体から離れ、肉体はからっぽになってしまうので、とても危険な状態なのである。

そして、吟遊詩人(scope)達は魂の旅路を描いたが、後に残された肉体をどう守るか教えてくれる事はめったになかった。


のだそうだ。


もっとも、キリスト教以前、バイキングなんぞは夢はよっぱらい戦士のたてる騒音だと考えていたとゆー。

面白いね。しかしバイキングについては詳しいとこまで書いてくれてなかった。残念だ。



残念だが続く








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馬乗りになるドワーフと蜘蛛と金縛りの年:Against a Dwarf その3

ところで Against a Dwarfの原題は

『Wið dweorh』とゆう。すごいかっこいいと思う。

しかし冒頭からして問題があるらしい。えぐい。
大概はdweorhはdwarfと訳されているが、wart(いぼ、あるいは疥癬)という解釈もあり、最初にそういう方向に走るともうとんでもない所にいくかもしれない。いかないかもしれない。

ともかく

言語の問題以外にも意味が崩壊している部分が多い。

お呪いなんぞそんなもんだろうが


だが特に後半がやばい。ここんところ、


“蜘蛛の如きものがマントを手にやってくる。
お前は私の馬だと言い張りながら、お前の首にひもを掛ける。

それから彼らは岸を離れ始める。岸から離れるや否や、ともかくも冷たくなり始める。
そこに獣の姉(妹)がやってきて、それを止めさせる。そしてこの宣誓を誓う。”


1.蜘蛛の如きものとは何なのか?
2.お前は私の馬? 馬におなり? なのか? 谷崎純一郎的なフェチなのか関係ないわね。
3.岸から離れて冷たくなる? 
4.獣の姉(妹)とは何を表しているのか?

こういった疑問を全て解いてくれているわけではないが、
Dreaming of Dwarvesの論文の作者、Matthew C.G. Lewisさんはかのようにのたまう。

It shows a depth of understanding of dream psychology that prefigures modern psychiatric techniques; provides clues as to the linguistic, religious, cultural, and folkloric origins of nightmares, and reflects a tradition of shamanism in Old English poetry.


訳してみよう

ここには、現代の心理学的手法を前もって予示するような、夢の心理的解釈の洞察の深さが示されている。悪夢(nightmares)の言語学的、文化的、また民俗学的起源を解く鍵を提示し、また古英語詩におけるシャーマニズムの伝統をも反映するお呪いである。

わけが分らない。

もっとお母さんが言うみたいに言ってください。


このおまじないは、昔のものなのに、まるで今の精神科のお医者さんが使う様な方法をつかっているみたいね。それにこのおまじないの中には、悪夢という言葉がどこからきたか、どんな伝説に関係があるかを知るのに大切なことを言っているのね。このおまじないはまだ呪術師がいたころのものなのだけど、呪術師がこれをどう使っていたかということも興味深い事よね。


と変換してみる。


しかし私のお母さんは関西の人なのでこんな風には言わない。

今の若いお母さん達、ママさん達もこういう言い方はしないだろうと思う。


それはおいといて、もう少し具体的に言うと、Matthew C.G. Lewisさんいわく、これは金縛りに対処するおまじないじゃネーノ? ンダロォ? ということだ。



次からは論文の中身をある程度詳しめに書いていこうと思います。








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Against a Dwarf その2





アゲインストアドワーフ。続くよ。



現代英訳はウェブでみると幾つかあるが、微妙に違っていたりする。
元の古英語が全て解明されているわけではないので、解釈によって意味が違ってくるらしい。

論文の中ある英訳には(コピペできないのだ)、下記のものが一番近い。



ソースは→http://www.thing.net/~grist/ld/young/ky-chrm.htm


Charm Against a Dwarf

Take seven little wafers, such as those used in worship, and write these names on each wafer:

Maximianus, Malchus, Iohannes, Martimianus, Dionisius, Constantinus, Serafion. Then sing the charm that

is given, first in the left ear, then in the right ear, then over the top of the head. And then let a

virgin go to him and hang it on his neck. And do this for three days. He will soon be better.

A spider-thing came on the scene
with his cloak in his hand; claiming you for his horse,
he put his cord on your neck. Then they began to cast off from land;
as soon as they left the land they nonetheless began to cool.
The beast's sister came on the scene;
she stopped it, and swore these oaths:
that this should never hurt the sick one,
nor any who tried to take this charm,
nor any who should speak this charm.
Amen. Fiat.





簡単に訳してみよう。

「ドワーフ封じのお呪い(おまじないと読んでね)」

礼拝に使うような小さな聖餅を七枚用意しなさい。その聖餅にはそれぞれ下記の名前を書きなさい

Maximianus, Malchus, Iohannes, Martimianus, Dionisius, Constantinus, Serafion.
これから言うお呪いを唱えなさい。最初は左の耳に、それから右の耳に、そして頭の上から。
そして処女を彼の元につかわし、それを彼の首にかけなさい。これを七日行えば、彼はすぐによくなるだろう。

(お呪い)
蜘蛛の如きものがマントを手にやってくる。
お前は私の馬だと言い張りながら、お前の首にひもを掛ける。

それから彼らは岸を離れ始める。岸から離れるや否や、ともかくも冷たくなり始める。
そこに獣の姉(妹)がやってきて、それを止めさせる。そしてこの宣誓を誓う。

これは病んだものを決して傷付けはしない。
このお呪いを受けんとするものを
このお呪いを唱えるべきものを

アーメン 然り



訳してみると論文のものと多少齟齬があるような。

まあいいか。

文中に出てくる

Maximianus, Malchus, Iohannes, Martimianus, Dionisius, Constantinus, Serafion.

これまたやっかいな、とある伝説の中の聖人の名前だ。

「七人の眠りの聖人」でぐぐると当該の伝説が出てくるが、どれも名前まで載ってないな。しかしどんな伝説かは載ってるからご参考になると思う。ともかくだな。

訳と言いつつ英語が残っているのは嫌な気分なのでだね。

マクシミアヌス、マルカス、イオハンネス、マルティミアヌス、コンスタンティヌス、セラフィオン?

……ローマ字読みしただけである。信じてはいけない。

私もこれが正しいと信じてはいない。でもコンスタンティヌスはこれでいいような気がするので少し嬉しい。


今日はここまで。寝るわ~。




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